離婚は合意しているが条件が決まらない
離婚自体の合意ができている場合、親権以外の条件が決まっていない場合であっても、役所に離婚届が提出・受理されれば離婚は成立します。
しかし、具体的な離婚条件を合意しないまま離婚するのは、のちに重大な紛争を生じるリスクがあるため、できるだけ避けるべきです。
目次
協議離婚において決定すべき主な条件とその法的根拠
離婚に際して話し合っておくべき主な条件は、以下のとおりです。
(1)財産分与
婚姻中に夫婦が協力して築いた財産は、たとえ一方の名義であっても、原則として2分の1ずつ分け合うことを基本とする制度です。
対象財産の例:
• 現金・預貯金
• 不動産(持ち家など)
• 自動車
• 退職金(支給が見込まれるものを含む)
注意点として、結婚前の貯金や相続財産は、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産とはいえないため「特有財産」となり、財産分与の対象外となります。
(2)慰謝料
慰謝料は、相手方の違法行為によって精神的苦痛を受けた場合に請求することができます(個別慰謝料といいます)。離婚時に問題となる違法行為としては、不貞行為や暴力行為が典型的な例として挙げられます。他方、価値観の相違や性格の不一致などは違法行為とはいえません。
もっとも、離婚を余儀なくされること自体、精神的苦痛を生じさせるものとして、相手方の違法行為がなくとも慰謝料が認められる余地はあり、これを離婚慰謝料といいます。ただし、違法行為がない場合の離婚慰謝料の金額は、認められても低額にとどまることが多いです。
実際の裁判では、個別慰謝料と離婚慰謝料は明確に区別されず、一括して金額が認定されることが多いです。慰謝料額は、50万円から300万円程度が相場といえますが、事案によっては1000万円近い金額が認められることもあります。
(3)親権
未成年の子がいる場合、離婚届にはどちらが親権者になるかを必ず記載する必要があります(ただし、共同親権が認められる法改正があり、2026年度中に施行される予定です)。
(4)養育費
親権の有無にかかわらず、子の扶養義務は親にあります。非監護親が監護親に対し、子の生活費・教育費などを負担するのが養育費です。子どもが自分と同じレベルの生活をできるよう費用を負担する必要があります。
養育費の金額は、両親が合意により決めるのが原則ですので、個別の事情に応じて柔軟に取り決めることが期待できます。
もっとも、養育費の金額を合意できない場合、裁判所が作成した「養育費算定表」に基づいて決められるのが通例で、支払期間は基本的に子どもが20歳になるまでです。
(5)面会交流
離れて暮らす親と子どもとの交流権です。回数や方法、第三者の立ち合いの有無などを取り決めます。近年は権利として重視されており、面会交流の実現性も親権判断に影響することがあります。
離婚条件がまとまらないときの対応法
(1)弁護士に協議の代理を依頼する
離婚条件を協議する際、当事者が感情的になることで協議が進まなくなることがよくあります。そのような場合、弁護士に交渉の代理を依頼することで、相手方と直接関与する必要がなくなり、冷静に自身の意見を伝えたり、相手方の意見を聞くことが可能となります。
また、弁護士に依頼すると、専門的なアドバイスを得ながら交渉を進めることができます。これにより、離婚条件の合意に向けて、自身の納得する形で協議を進めることが可能となります。
(2)家庭裁判所に調停を申し立てる
協議で合意できない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。調停では、中立の立場の調停委員を介して双方の意見を調整し、合意を目指します。
合意に至った場合、判決と同じ効力をもつ、調停調書という書面が作成されます。調停が不成立となった場合には、離婚訴訟を提起することを検討します。
まとめ
できるだけ早く離婚したい、という方もいらっしゃるでしょうが、離婚条件を詰めずに離婚すると、離婚後に再び紛争に巻き込まれる事態になりかねません。
もっとも、離婚条件には、上述のように複数の項目があるため、離婚の合意はできても、離婚条件については簡単に合意できないことも多いのが実際です。
そのような場合、専門家のアドバイスを得ることで、問題点を解決し合意に向け協議を進めることが可能となります。
離婚の合意はできたが、離婚条件の合意がまとまらないという方は、是非当事務所にご相談ください。