離婚に向けて別居を考えている方へ
夫婦関係の修復が難しい、日々配偶者と顔を合わせるだけでストレスを感じる、配偶者から心身の安全を脅かされている――そんな状況に陥ったとき、「まずは別居から始めよう」と考える方は多くいらっしゃいます。
そこで、離婚を見据えて別居を考えている方に向けて、事前に知っておきたい法律や準備のポイント、注意点について、説明します。
目次
別居を考えた方が良い場合とは?
1. 心身に大きな負担を感じている場合
配偶者との生活が原因で心身の調子が悪くなっている方、特にモラハラ(精神的な暴力)やDV(身体的な暴力)の被害にあっている方は、まずは自分自身の安全を守ることが最優先です。
このような場合、早期に別居を検討することが必要でしょう。
2. 子どもへの影響が懸念される場合
夫婦間に争いがあり、家庭が緊張状態にある場合、子どもの心身にも悪い影響が及ぶことは否定できないでしょう。子どもが情緒不安定になっている場合や、学校や保育園での言動が以前と異なる場合などには、子どものためにも生活環境の見直しを行うべきでしょう。別居は、子どもにとっても穏やかな生活を取り戻すための第一歩となるかもしれません。
3. 離婚に向けて冷静に準備したい場合
配偶者との間に感情的なもつれがあると、同居を続けながら冷静に離婚の準備を進めることは簡単ではないでしょう。別居によって生活空間を分けることで、精神的な余裕が生まれ、財産分与や親権、面会交流などの具体的な検討もしやすくなります。
別居に向けた準備
「今すぐにでも出て行きたい」と思っても、少し立ち止まって、必要な準備を整えてから行動に移すことがとても重要です。
別居を開始し、離婚を決意する前に距離を置くことは、心身の安全を確保し、冷静に物事を見つめ直す機会になり得ます。しかし一方で、別居には、離婚の際の法的な意味付けや経済的な影響が伴います。勢いで家を出てしまった結果、後になって不利な立場になってしまうことも少なくありません。
ここでは、別居に向けてやっておくべき準備を、具体的に解説します。
生活費の確保(婚姻費用分担請求の準備)
別居を始めると、住居費・食費・光熱費など、これまで配偶者と共有していた生活費を自分で賄う必要が出てきます。別居前、主として配偶者の収入で生活費を賄っていたような場合、特に専業主婦(主夫)や自身の収入が少ない方などは、別居した途端に、経済的に困窮するリスクを抱えることになります。
別居を開始した後、「勝手に家を出て行ったのだから生活費を渡す必要などない」などと言って、配偶者が生活費を渡してくれなくなるケースは多いですが、そのような場合でも配偶者に対し、婚姻費用分担請求を行うことが可能です。夫婦には同程度の生活を維持するためにお互いに扶養する義務があるため、別居中でも、収入の多い方が少ない方に支払う義務が認められるのです。
配偶者から適正な金額の婚姻費用が支払われない場合、調停等の場で請求することもできますが、婚姻費用の適正な金額を算出するために、配偶者の収入を裏付ける資料が必要となりますので、次の資料を事前に準備しておくとよいでしょう。
事前に準備しておくと良い資料:
• 源泉徴収票、確定申告書の控え
• 給与明細書
• 所得証明書
不倫の証拠集め
配偶者の不貞行為が離婚の原因である場合でも、不貞行為の証拠がないと、適正な慰謝料額を請求することや、自身に有利な離婚条件に持ち込むことは簡単でなくなります。
別居を開始すると、配偶者の行動を把握しにくくなり、証拠を集めるチャンスも減るため、できれば同居中に証拠を集めておくのが望ましいでしょう。不貞行為の証拠として有用なものは、次のようなものになります。
有効な不貞の証拠:
• ラブホテルの出入り写真・動画
• 不倫相手とのLINE・メールのやり取り(肉体関係が推測できる内容)
• 頻繁な外泊の記録、レシート、クレジットカードの明細
なお、違法な手段(勝手にスマホを盗み見る、盗聴するなど)で取得した証拠は、裁判等で使えなくなる可能性があるため、弁護士に相談しながら収集するのが安心です。
財産分与の証拠集め
財産分与とは、結婚生活の中で夫婦が築いた財産を公平に分ける制度であり、離婚した一方の当事者には、他方に対し、財産の分与を求めることができる権利があります。
別居を開始すると、相手が財産を隠したり処分することも容易になるため、できれば同居中に、証拠を集めておくのが望ましいでしょう。収集しておくべき資料は、次のようなものとなります。
• 夫婦名義・単独名義の預貯金通帳
• 不動産の権利証・登記簿謄本
• 自動車の車検証やローン書類
• 有価証券、保険、年金の明細
• 借金・ローンの残高証明
コピーを取る、スマートフォンで撮影するなど、証拠が手元に残る形で保存しておきましょう。
別居前から弁護士に相談するメリット
「別居して落ち着いたら弁護士に相談しよう」と考える方もいらっしゃいますが、実は別居前こそ、弁護士に相談するベストタイミングです。上述しましたように、別居後の経済基盤を確保したり、有利な条件を獲得したりするためには、事前の計画と準備が重要となるためです。
精神的に追い詰められているときこそ、専門家の力を借りながら、冷静に筋道を立てることが、自分自身を守ることに繋がります。焦らずに、必要な情報とアドバイスを得ながら、一つずつ問題を解決していきましょう。
離婚に向けて別居を検討されている方は、是非一度、当事務所にご相談ください。